建築写真の修整:夜景の修整前後
かっこよくするという写真修正のポイントを見極める
電柱を消すのと、夜景をかっこよくしてほしいとの写真修正の依頼をうけた。
かっこよくしてという依頼はなかなか難しい。依頼主のかっこいいが何なのかわからないからだ。
話からみえたポイントはこんな感じ
- かっこよくしてほしい
- 建物をみせる竣工写真ではなく、純粋に広告用の写真
- 壁面きたない
- クライアントが入ってる肝心の部分にデカいコンデンサー付きの電柱がかなりの大きさで2本
- 軽い会話で夕方っぽく?的なクライアントもイメージが固まっていないっぽい
予算がないとの事でしたので、細かく再現せず壁面塗りつぶしちゃう提案をする。
その後「もう一度撮影しなおすから」と待てがかかり、再開時に画像1点だったのが3点に変更。
いただいた画像をみるとあるカットにはタクシー。別のカットには軽自動車が写っている。依頼主に聞いてみるとクライアント立会いの下撮影してて、「このモヤっぽいのいいね」ってなったらしい。
そこでまた考察
- モヤっぽいとはフレアやゴーストを気に入ってるのでは
- アンバー色に色かぶれした元画像をどちらかといえばブルー系に修正し、coolなイメージにしようと思っていたが、元色を採用(上写真はブルー系に修整したもの)
いただいた材料
しっかりと三脚を構えた露出違いの画像を用意いただく。遠景、中間、寄りの3パターン。正直遠景や中距離のカットで電柱を消す必要性があるのか疑問に思い確認したところ「とりあえずやってみて」との事。
写真修正の工程
- 電柱を消したり、電線を消すのは竣工写真の修整と同じ。いつもの通り根気と細かさ。
- 寄りのカットでは壁面を塗りつぶし、元と馴染ませつつテカリ等を書いてゆく
- 空はすべて手書き、夜の空を描き、リアル感を出すために雲をあえて入れ、夕景的な光を入れる。
- 星を点描していく。Webでの使用を意識して大きめに、そして色々なサイズと微妙に違う色で描く。
- 周囲のタレントが載った看板広告について確認したが、そのままでいいとの返事。でもこちらの判断で暗くしておく。
- ヘッドライトの軌跡などを描いてみる。
一番大事な工程:写真を数日寝かす
建築の写真修整は人物の修整に比べかなり細かい。人物はシワ・シミなどをボカシごまかせばいいが、竣工写真など建築写真の修整は、いかにリアルを再現するかの世界。特に今回は手描きの部分が多い。描いている最中はわからない事が、寝かすことで修正個所に違和感を感じる。色もそう。ずっとモニターを見つめ修整していると色がわからなくなります。作業の合間に外に出て自然光の色を確認すること数え切れず…おかげで噂好きなご近所の奥様方に変人扱いされる始末。いい大人が平日の昼間から庭でボーっとしてるんだから仕方がないと言えば仕方ない。
写真修正の最後のポイント
寝かした後、修正した画像をみると夕景を再現するために入れた赤や紫がやり過ぎ。派手なのとリアルに彩度おとしたのと両方納品してみました。塗りつぶした壁面も気に入らなかったのでリアルな修正も納品。